トップコミットメント社長メッセージ

企業としての責任を果たしていくことで、有形・無形の価値を生み、社会への貢献を果たします。 代表取締役社長 CEO兼COO 芳井 敬一

信頼を損ねたことに関し、お詫び申し上げます

2017年11月に社長に就任して以来、大和ハウスグループの総合力を高めつつ、国内市場の開拓に積極的に挑んでまいりました。およそ1年半のなかでは、自らが思い描いたことをすべて実現できたとは言い難いものの、やるべきことは必ずやり遂げるという決意のもとで、日々経営に邁進しております。また、申すまでもなく、組織を率いる者として自らが発する言葉の重みをあらためて認識するとともに、社内に向けてもさらに発信力を高めていきたいと考えています。

業績につきましては「第5次中期経営計画」が、賃貸住宅および商業施設、事業施設を中心としたコア事業の成長を加速させるとともに、事業の多角化や人財基盤・ものづくり基盤の強化により好調に推移しました。そして、全役職員および協力会社の方々の尽力のおかげで、最終年度である2019年3月期は売上高、利益共に過去最高を更新することができました。

しかしながら、本年3月に中華人民共和国の関連会社における不正行為発覚、4月には戸建住宅および賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等と、不祥事が重なりました。ステークホルダーの皆さまに対して、信頼を損ねることとなり、最高経営責任者として深くお詫び申し上げます。

現在、事態への早急な対処を進めております。また、すべての役職員が不祥事の原因に「正対」し、直視し対応するとともに、そこから学び、変わった姿を皆さま方にお見せしていくことが重要であると考えます。

これからも変わることなく創業者精神を継承いたします

この度、当社の樋口武男が、代表権を返上するとともに、CEO(最高経営責任者)を退任しました。社長および会長の職を歴任して実に18年。その間、売上高を1兆円から4兆円に伸ばした功績はきわめて大きいと考えます。また、創業者・石橋信夫の精神を継承し、社内に浸透させてきたことが、当社グループの今日までの成長に至る礎になっているのは間違いありません。

今後『創業100周年に売上高10兆円の企業グループ』という石橋相談役の夢の実現に向けて、5兆円、6兆円と成長を続けるためには、引き続き創業者精神を継承していくのはもちろんのこと、代々の役職員が大切にしてきた「凡事徹底」、そして「世の中の多くの人の役に立ち、喜んでいただける商品・サービス」の創出が欠かせません。

それとともに、世界標準でESG(環境・社会・ガバナンス)が重視される現状にあって、これらの切り口をふまえて、直近の業績を追求するだけでなく、中長期的な視野で経営を推進することの重要性を強く感じております。

住宅のストックビジネス、海外事業でさらなる社会貢献へ

今回、公表しました「第6次中期経営計画」の策定にあたっては「事業戦略」として、ビジネス分野における商業施設・事業施設事業の拡大をはじめ、ハウジング分野として、戸建住宅・賃貸住宅・マンション事業における再成長への布石、海外展開の加速、そしてお客さまの資産の付加価値向上に対する寄与として、新たに立ち上げた「リブネス事業」という住宅のストックビジネスを着実に進めてまいります。なかでも「リブネス事業」は、持続的に責任を果たすため、街と住まいの「再耕」を実現していくもので「第6次中期経営計画」において重要なテーマに据えています。

また、海外展開については、各国で事業が拡大しているなか、当社グループとしてなすべきことは何かという使命を明確にしたうえで、新たな挑戦に取り組んでまいります。私は、海外事業は「地産地消でなければならない」と考えます。その意味するところは「現地のことは現地の人々に任せる」ということです。国が経済成長の段階にあるなかでは、公的資金を投入した公営住宅などの建設が増えていきますが、当社グループはノウハウの提供に留めており、民間事業に特化しています。なぜならば、その国の税金を持ち帰るような事業はしてはならないと考えるからです。この方針は今後も変えることはありません。これから先、世界の幅広い国で現地の人々と協働しながら、それぞれの地域の課題に真摯に向き合い、解決の道を通じて事業の成長につなげてまいります。

従来取り組んできたサステナブル経営をさらに加速してまいります

「第6次中期経営計画」では「事業戦略」に加えて「環境」および「社会」への取り組みに対しても3 ヵ年で推進すべき具体的な重要課題を定めました。各課題に対して、目標とする指標を明確にしており、その達成に取り組んでいくことで、事業を推進するプロセスの強化や、事業を通じた社会的価値の向上にも寄与してまいりたいと考えております。

まず「環境」については、昨年度「SBT」「EP100」「RE100」など、気候変動対策のための国際イニシアティブへ参画しました。今後、事業や自社活動を通じて、野心的といえる高い目標に挑戦してまいります。きわめて高いハードルといえますが、これこそが当社グループが挑むべき道であると考えます。そして、環境問題に貢献していくことが、ひいては当社の持続的成長につながると信じています。

これからの成長に向けて最も重要なのは人財基盤

また「社会」については引き続き「人財基盤」および「技術・ものづくり基盤」「顧客基盤」という3つの基盤のもとで、さまざまな社会課題に対して事業を通じた解決を図ってまいります。

企業の持続的成長に向けて1つ目の「人財基盤」が重要であるのは申すまでもありません。これからの当社グループを担う人財をいかに育てていくか、企業グループの持続的成長はこの一点にかかっています。私は常々「従業員には育つ権利があり、上司には育てる義務がある」と社内で伝えています。技術者や営業担当、そのほかの職種にあって、だれもが仕事を通じた成長を望んでいます。そのためには、企業の確かな将来が見えていなければなりません。それがあれば、人は自ずと成長していくものであり、成長を通じて仕事のやりがい、働きがいを実感できます。

私は当社に中途で入社しましたが、おかげさまで人にとても恵まれました。そして、多くの人と思いを共有するなかで、事業の発展に向けてどんなときでも前進できたと思います。このような思いを、これからの時代を担う若い従業員に一人でも多く実感してもらえる企業とすることが経営者の使命であります。

また、人を育て、活かす環境ということでは、ダイバーシティへの取り組みが欠かせません。日本では「女性活躍推進」という言葉が盛んに用いられていますが、私としては、性別や年齢などにとらわれず、だれもが活躍できる環境を整えることで、こうしたキーワードをわざわざ用いなくて済むようにしたいと考えています。ダイバーシティへの環境整備に向けて、当社グループの制度は充実してきていますが、課題は運用です。そのため「第6次中期経営計画」において着実に対応してまいります。

2つ目の「技術・ものづくり基盤」については、安全・安心や生産性の向上を目指して、人工知能やビッグデータを筆頭にICT(情報通信技術)などの先進技術を積極的に活用していきます。ただし、あくまで建設の現場が納得して使える技術であることが大前提であり、現場の声を開発にしっかり反映していく考えです。

お客さまとのお約束を引き続き果たしていく

さらに、3つ目の「顧客基盤」については、お客さまとのお約束を守り続けるという当たり前のことを徹底してまいります。「リブネス事業」を立ち上げた背景には、当社グループがこれまでに手がけた、郊外型戸建住宅団地が住民の方々の高齢化により、活気を失いつつある現状があります。

団地の開発当時、お客さまに夢を伝えてきた以上、たとえ何十年経っているとしても、引き続き夢をお伝えすることが企業としての使命であると考えます。当社グループでは、すでに神奈川県や兵庫県など自社開発の住宅団地にて地域の活性化を目指した取り組みを本格化させています。今後は、お住まいの方々が末永く安全・安心かつ快適に暮らせる環境を提供するとともに、新たに住みたいと思う人々を呼び込むことのできる、魅力的なまちづくりに邁進してまいります。

当社グループがこれまで開発を手がけてきた住宅団地の「再耕」を果たすことは、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の17目標のうち、11番目の「住み続けられるまちづくりを」という目標に対する事業を通じた貢献であり、これを成し遂げることが当社グループのSDGsに対する最重要の責任と捉えております。

サステナビリティレポート2019 P21-22「バリューチェーンにおける社会性中期計画・環境行動計画の重要課題」

時代の先を見据えた投資で来たるべきリスクに備えます

これら3つの基盤に加えて「第6次中期経営計画」では「イノベーション」「コミュニケーション」「リスク対応」の3つを定めております。なかでもリスク対応基盤の強化については、この度の不祥事を受けて、コーポレートガバナンスの強化とあわせてさらなる推進が必要と考えております。

以上の「環境」「社会」に関する基盤整備については、3年で約1,000億円の予算を投じる計画です。この金額についてはさまざまなご意見があるかと存じます。当然ながら「費用対効果はどうなのか?」という疑問も出ることでしょう。確かに、人財育成をはじめとする基盤整備に1,000億円を投じることで得られる効果は無形価値が中心であり、費用対効果を測りにくいかもしれません。

しかしながら、この投資は将来を見据えて、当社グループが必ず通らねばならない道と確信しております。これから先、少子高齢社会のなかで深刻な人手不足という厳しい状況に直面すると予想されます。その際、現状の仕組みのままでは業務を適切に遂行できないリスクがあります。

こうした取り組みにおいては、悠長に構えている時間はありません。社内での研究開発を加速するとともに、オープンイノベーションの時代にふさわしく、場合によっては社外からもアイデアや技術をいただきながら、実用化の道を早急に模索していく考えです。5年先、10年先を迎えた時になって「あの時に取り組んでおいてよかった」と後進の人々に言われるように、今からしっかりと手を打っていきます。

「和の心」を守り継ぎながら、社会的使命を果たしてまいります

「ガバナンス」については、冒頭で申し上げたように不祥事が続いております。誠に厳しい状況ではありますが、諸問題に対してけっして逃げることなく、また小手先の対応で済ますことなく、すべてにおいて「正対」していくことをステークホルダーの皆さまにお約束いたします。

この難局に対して真正面から取り組み「大和ハウスグループが生まれ変わった」と皆さまから評価していただけるように、全役職員と力を合わせて問題の解決と再発防止に注力してまいります。

最後に「第6次中期経営計画」に、創業者精神を継承する象徴的な活動として社会貢献の一連でもある「Daiwa Sakura Aid」の取り組みを加えさせていただきました。これは奈良県の吉野山の桜保全活動を中心とするものです。吉野は創業者・石橋信夫の生まれ故郷であり、当社グループの心の故郷といえます。

ご承知の通り、吉野の桜ははるか昔から日本人によって大切にされてきました。文化と歴史、伝統、そして景観に象徴される「和の心」を、ステークホルダーの皆さまとともに末永く守り継いでいきたいと考えます。そして、保全活動を通じて創業者精神に触れることで、当社グループの社会的使命を思い起こし、世の中の役に立つ事業を通じて持続的成長を成し遂げてまいります。


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