トップコミットメント会長メッセージ

創業者の精神こそサステナブル経営の原点であり、これからの持続的発展に欠かせないと考えます。当社を取り巻く人々と共に、さらなる社会貢献へ 代表取締役会長 樋口 武男

「会社は社会の公器」の信念で経営に邁進

大和ハウス工業の創業者、石橋信夫が、1955(昭和30)年にわずか18名の社員で当社を創業して以来、60年以上の歳月が経ちました。事業をゼロから立ち上げ、他社の商品やサービスを真似することなく、世の中の役に立つものを提供するという、その一心で事業を継続してまいりました。「何をしたら儲かるかという発想で事にあたるな。どういう事業が、どういう商品が、世の中の多くの人々の役に立ち、喜んでいただけるかということが事業のキーワードでなければならない」。石橋信夫のこの言葉は、現在に至るまで変わることのない価値基準であり、多岐にわたる事業において共通した理念となっています。
直近の連結売上高が3兆5,000億円を突破するなど、業績が拡大する中で、いまあらためて思い致すことは創業者精神を継承することの大切さであり、これからも創業の原点を見失うことなく、社会に貢献する企業であり続けたいということです。
生前の石橋信夫からさまざまな薫陶を受け、私は「人の道を守れ」「会社は社会の公器」との信念のもとで当社グループの経営に邁進してきました。これらこそが揺るぎない価値観であり、すべての事業、業務において忘れてはならない拠り所であると確信しております。「人の道」とはいわば社会の常識、当たり前のことです。「世間に対して筋の通らないことはけっして行ってはいけない」。いわば当たり前のことを当たり前に徹底してやり遂げる。すなわち当社が掲げる「凡事徹底」こそ、サステナブルな経営の底流に流れる価値観の一つであります。今や6万人以上に及ぶ従業員全員がこの価値を共有するとともに、グループ会社全体においてもさらに浸透させていくことが経営者としての使命であると考えます。

社会に役立ち、お客さまに喜んでもらうことが事業の起点

当社グループは、創業者の遺志を受け継ぎ、創業100周年の2055年には連結売上高10兆円の企業グループになることを目指しています。これは単に事業規模の拡大を目指すのではなく、それだけの事業規模を通じて社会の課題に対して、真摯にそして持続的に応えていくという企業姿勢の現れです。

事業領域(価値創造のターゲット)

人・街・暮らしの価値共創グループ

この壮大な目標に向かって挑戦していくためには、既存の事業における社会の貢献にこれまで以上に取り組んでいく必要があります。さらには成長過程にある海外事業や新規事業に積極的に挑戦することが欠かせません。創業以来、当社の成長を支えてきた「積極精神」をさらに発揮することで、時代の変化に対してこれまで以上に敏感となり、少子高齢社会への対応をはじめ、地球環境問題への貢献など、数多くの社会課題に全役職員が真剣に取り組むことが必要であると考えます。また、社内だけでなく、取引先など当社を取り巻く幅広いステークホルダーの皆さまと力を合わせて課題解決に取り組むことが重要なのです。
新規事業については、医療介護向けロボットスーツなどの開発を手がけるベンチャー企業「サイバーダイン」への出資、協力が挙げられます。同社は出資後8年目で株式の上場を果たしたほか、新商品の開発が加速しております。労働人口の減少が懸念される日本で、建築や介護などの現場で活躍が期待されるロボットスーツは、将来に向けて大きな可能性を秘めています。
また、当社では高齢社会において介護の負担を軽減する目的で、自動排泄処理ロボット「マインレット爽(さわやか)」を別のベンチャー企業「エヌウィック」と共同開発するなど、ロボット分野の事業化に注力しています。このほか、気候変動問題に貢献する環境エネルギー事業や、世界の食糧問題に寄与する農業事業など多岐にわたる事業の創出に取り組んでいます。
事業を興すキーワードとして当社は「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・ノ」を掲げていますが、これは安全・安心、スピード・ストック、福祉、環境、健康、通信、農業のそれぞれ頭文字を合わせたものです。いずれも世界が抱える課題を含んでおり、当社は「世の中の役に立ち、お客さまに喜んでもらえるか」という観点を何より重視することで、新規事業の創出と社会的貢献を目指しています。そして、これからも外部のベンチャー企業などとの連携を強化し、信頼の絆のもとでお互いが共に持続的に発展していきたいと考えます。

当社のCSR指針にみる歴史的な背景

「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・ノ」に象徴される事業を通じた社会貢献は、当社グループにおけるCSR指針に合致するものであり、「独自技術やノウハウにより事業を通じて社会に貢献する」ことは、当社が創業時から大切にしてきた事業に対する考え方そのものと言えます。
また、当社が2002年に、地域に密着した体制を構築するため、組織改革として事業本部制を廃して支店長に権限移譲した際、「責任をもって判断するための基準が必要だ」と考えました。
創業者精神を引き継ぎ、世の中のためになることを基本に「6つの判断基準」として示したのが「会社にとって良いことか」「社員にとって良いことか」「お客さまにとって良いことか」「株主にとって良いことか」「社会にとって良いことか」「将来にわたって良いことか」というものです。
これら6つの判断基準を経営の基軸とし、日々の業務遂行や新規案件の内容がいずれにもあてはまると判断したら、実現に向けてスピーディかつ果敢に行動する。以来、十数年の歳月のなかで判断基準にぶれを生むことなく、「良いこと」をひたすら追求し続けた結果、今日の成長をもたらすことができました。
いわば、今日のCSR経営の原点ということができます。当時、国内では「CSR」という言葉すらほとんど知られていない中で、現在でいうところのステークホルダーを意識した判断基準を打ち出せたことは、大きな意味があったと思います。

社会貢献への思いを「エンドレスハート」に込めて

今後、当社の新たな挑戦と持続的成長を果たしていくために最も大切なのは人財の育成です。申し上げるまでもなく「企業は人なり」であります。将来の成長を見据えて、若い人財を一人ひとり大切に育てるとともに、活躍の場を提供し、仕事の成果を適正に評価する仕組みが必要です。特に海外事業の展開が加速するなかでは、従来の発想を超えた人財育成が欠かせないものとなっています。
そして事業がますます拡大し、年齢や出身国など多様な従業員が事業に携わるなか、創業者精神をますます大切にしていかねばならないと考えています。会長職としての重要な務めの一つは創業者精神の継承であり、いわば伝道師としての責務を果たすなかで、大和ハウスグループ全体への浸透を図っていきたいと考えます。
冒頭では創業100周年を目指した展望を申し上げましたが、それまでにはあと30数年あります。まだ先のことと思われるかもしれませんが、当社にとって100周年はあくまで通過点であり、さらにその先の100年というように、未来永劫にわたって継続してお客さまや社会から必要とされる企業でなければなりません。
時の経過とともに過去の歴史は往々にして忘れられがちです。当社の原点はどこにあったのか、創業者の思いは何であったのか、今こそあらためて全役職員が思いを馳せることが大切だと考えています。
当社は創業50周年を迎えた際、お客さまとの絆や大和ハウスグループの連帯感を象徴する「エンドレスハート」を制定しました。メビウスの輪を想定するデザインは、絶えることのないグループの行動と、無限に続く成長を表しています。これは創業者の思いを形にしたものであるとともに、創業者精神を大切にし、数多くの人々と共に協力し合いながら、世界の人々に役立つ事業を広げていく決意を示すものであります。事業規模がどれほど大きくなったとしても、この思いをけっして忘れることな く、企業としての使命を引き続き真摯に果たしていきたいと考えます。つきましては、当社の事業に対して、社会の皆さまのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。


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