トップコミットメント社長メッセージ

「人・街・暮らしの価値共創グループ」の力を結集し、国内外の社会課題に一気通貫で対応する事業を追求してまいります。 代表取締役社長/COO 芳井 敬一

創業者の『わが社の行き方』が意思決定の原理原則

昨年11月より大和ハウス工業の代表取締役社長を拝命しました芳井敬一でございます。私は主に営業畑を進んできたほか、2011年からは海外事業の開拓にも注力してまいりました。

これまでにさまざまな意思決定を行って参りましたが、その際に欠かせない原理原則となったのは、創業者である石橋信夫相談役が生前書き残された『わが社の行き方』でした。創業者の魂がこもったこの一冊は、入社時に渡されて以来、折に触れて私の心の支えとなっています。また、積極精神や率先垂範、現場主義といったリーダーとしての行動姿勢に関する記述から多くのことを学びました。なかでも、営業の最前線で現場主義のもと、仕事を進めることが非常に重要です。

何事においても現場を自らの目で確認したうえで仕事を進めていく。このことは私に限らず、全社に浸透しています。事業用地の取得などをはじめ、技術部門や管理部門などにおいても徹底しています。例えば、経理部門では担当者が施工現場に出向き、工事の進捗を自ら確認した上で、期日通りに引き渡しと売上げ計上が可能かどうか確認します。いずれも当たり前のことですが、当たり前のことを徹底してやる。この凡事徹底こそが、長い年月のなかで培ってきた事業及び経営基盤の強化につながり、大和ハウスグループの強みの一つとなっています。

第5次中期経営計画」の業績予想を再度、上方修正

当社グループは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、既存事業の周辺領域も含めて、事業の川上から川下まで一気通貫の提案を可能とする組織能力・課題解決力・情報力で社会課題を捉え、新たな価値創造に挑戦しています。また、国内はもとより、北米やオセアニア、ASEAN諸国など世界各国においても、各地域に密着した事業展開に着手しており、さらなる業容の拡大に努めております。

こうした状況において、当社グループは、「第5次中期経営計画」を着実に実行中です。進捗状況については、昨年5月に上方修正した最終年度の利益目標を計画の2年目で達成することができました。

2018年3月期の業績につきましては、成長ドライバーである賃貸住宅及び商業施設、事業施設の3事業が業績を牽引したことから、連結売上高3兆7,959億円(前期比8.1%増)、営業利益3,471億円(前期比11.9%増)、経常利益は3,445億円(前期比14.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,363億円(前期比17.2%増)となりました。

今年度の業績見込みについては、成長ドライバーの3事業が引き続き順調に推移するものと予想しています。加えて、開発物件の売却の増加、海外事業の拡大、米国およびオーストラリアの企業のグループ入りなどを背景に、今年度、再び業績予想を上方修正し、2019年3月期の業績予想としては、連結売上高4兆円、営業利益3,540億円、当期純利益2,370億円と見込んでおります。

また、当社グループでは、「第5次中期経営計画」と併せて、「中期CSR計画」を進めており、ステークホルダーとの信頼関係構築を目指した「社会性」と、「環境」への取り組み実績について「CSR自己評価指標」として進捗管理をしております。2017年度は、「従業員」、「地域市民」、「CSR経営の基盤」の項目で特にスコアの改善が見られました。

今後、中期CSR計画においても最終年度の目標達成及び経営基盤のさらなる強化を図ってまいります。

グループ全体で横のつながりを強化し事業を推進、社会課題に対応

大和ハウスグループは、創業者から託された「創業100周年に売上高10兆円の企業グループになる」という夢の実現に向けて邁進しています。この目標は当社グループの今後を考えていくうえで、重要な意味を持っています。

なぜなら、目標を達成する見通しが立っている場合、目先の営業戦術にとらわれた経営に陥りがちです。一方、37年後の2055年に売上高10兆円はきわめて高い目標であり、現状の取り組みの延長線上では達成が難しいといえます。だからこそ、必要なのは長期的な展望に立った戦略です。時代の先の先を見据え、世の中はどう変わっていくのか、どのような社会課題が生じてくるのか、それに向けて企業グループとして何をなすべきなのか。こうした戦略を立てるためには、創造力を発揮し、企業グループとして足りないピース、機能は何であるのかを、とことん追求していく必要があります。

経営トップを筆頭にグループ全役職員が一体となり、グループ全体が横のつながりを強化した営業に取り組むことは、より大きな社会課題に対応できることを意味します。現在、当社グループでは、ゼネコンから住宅メーカー、マンションディベロッパー、商業・事業施設開発、さらにはリース、ホテルといった多岐にわたる事業のピースを備えています。これによって、鉄道を含めた社会インフラの整備から各種建築、さらには街づくり、小売り・サービスに至るまで一気通貫で対応することが可能となっています。この強みを活かし、人々の暮らしに根ざした社会課題の解決に貢献していくことができると考えます。

海外事業においても世の中に役立つ事業を追求していく

企業グループを挙げた一気通貫での社会課題の解決は、日本国内に限りません。これから先に進めるべき海外事業においても、国ごとの状況に応じた事業のピースを組み合わせ、貢献していきたいと考えます。

2011年に私が海外事業の責任者に就いた際、樋口会長から念を押されたのは、「儲けから入るな。国ごとの地域社会が困っていることを第一に考えろ」というものでした。当初、海外事業は100億円強の規模でしたが、今や2,000億円に達しています。今後も事業の拡大を図っていきますが、やみくもに売上げを伸ばすのではなく、あくまでも社会課題の解決に貢献するという姿勢は一貫して変わることがありません。

特に地球規模での課題を考えたとき、環境問題への対応は必須です。2015年に採択されたパリ協定をふまえて、世界の各企業が「脱炭素社会」に向けた取り組みを強化するなか、当社グループも2016年度に環境長期ビジョン「Challenge ZERO2055」を策定。グローバル一体での環境経営を推進し、「環境負荷ゼロ」に挑戦しています。2018年3月には、国際イニシアティブ「EP100」と「RE100」に参画。「2040年までにエネルギー効率を倍増し、事業活動で使用する電力を全て再生可能エネルギーでまかなう」ことを宣言しました。今後は、これらの達成に向けた取り組みをさらに加速し、「脱炭素社会」の実現を自ら先導するとともに、国内外での事業機会の獲得にも活かしていく考えです。

また、事業を推進するにはさまざまなステークホルダーと関わり続けます。大和ハウス工業の「6つの判断基準」は、ステークホルダーが「全方位よし」となっているか、確認する考え方だと思っています。例えば、業務評価指標の一つとして、「月初5日以内に月予定受注の8割達成」を指示しておりますが、前倒しの営業プロセスを実行することで、提案の質、建物の品質改善によるお客様満足の向上、当社及び取引先従業員の労働環境改善、コストカットなど、幅広い側面に好影響をもたらします。

海外事業においても、従業員や現地パートナーなどの関係者を大切にしながら事業を展開していきます。

従業員が前向きな気持ちで仕事に取り組める職場環境を築く

さらなる社会貢献を追求し、高みを目指すために最も重要な課題が人財の育成です。創業64年目の現在、100周年までには40年近くあります。しかし、まだ先のことと考えるのではなく、新入社員が自らの20年後、30年後を見通せるようなロードマップを用意することが経営者の責任です。私は、「管理職の役割の半分は後輩の人財育成である」ということを従業員にいつも語りかけています。社是にあるように、従業員一人ひとりが若いときから学ぶ機会を得て成長し、各事業のフィールドで活躍する機会を持てる企業グループでありたいと考えています。

事業というフィールドで仕事をすることによって、成果だけでなく成長することを求めています。また、経営層に対しても、私も学んだ支店長公募制度や大和ハウス塾などの仕組みに加え、先期より導入した「各地区ブロック制」においても、一つの事業だけでなく広域エリアの経営を任せるという経験をさせ、育てていくという方針をとっています。

冒頭で申したように、企業グループすべての従業員が、人生のさまざまなステージのなかで、常に前向きな気持ちで仕事に取り組める環境を築きます。特に女性従業員や海外拠点の従業員は、より能力を発揮して働き続けるために、会社の制度としてできることがあるはずです。国内の人口減少の状況下、ダイバーシティの推進は極めて重要となります。

長い人生のなかでは、ときに挫折することがあるかもしれません。しかし、当社グループは仕事でつまずいても、再チャレンジができる会社です。過去は変えられない。しかし、未来は変えられる。これまでの歴史のなかで培ってきた「積極精神」を糧に、引き続き世の中に役立つ企業グループとして、中期計画の最終年度である今年度の経営に尽力してまいります。


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