対談 【第3回】長寿社会における生きがいのあるまちづくり

急速に高齢化が進むベッドダウン

司会(オルタナ・森) 皆さん、よろしくお願いいたします。

秋山 秋山弘子です。IOGの特任教授です。専門は老年学ですが、元々は社会心理学が専門で人と人のつながり、人と社会との関わりを研究してきました。

木村 私は2011年の3月に柏市役所の保健福祉部長を最後に定年退職しました。私は40年近く柏市役所で過ごしました。そのうち半分が保健と福祉の分野。ですから障害者、子ども、高齢者の問題など、福祉全体を担当してきました。それらの視点からIOGで研究をしています。

佐藤 私はUR都市機構から出向でIOGにいます。URではまちづくり関連の業務や設計業務を中心に担当していました。

廣瀬 私は大和ハウスの研究所から出向しています。2009年、IOGのほぼ立ち上げから関わり、まる4年が経ちました。専門は建築ですが、元々「住居学」をやっていて、ハードよりも住まい方などソフトの部分のほうが専門です。

井上 大和ハウス工業の総合技術研究所に所属しています。当社の樋口会長が「農業の工業化」を提唱してから、当社における農業事業を検討していく中で、最初に「アグリキューブ」の開発に着手し、その企画・開発・設計・デザインを担当しました。商品発売後、IOGからアグリキューブを高齢者の就労に使えないかという御相談をいただき、現在、高齢者の働く場の一つとして利用していただいています。

司会 木村さん、柏市でも急速に高齢化が進む中で、どうやって高齢者の住民の自立度を高め、「生きがい」を高めることができるのでしょうか。

木村 市町村の仕事として介護保険事業というのがあります。柏市でも要介護認定を受ける方が増えてきました。実は4~5年前、柏市の職員として、柏市の将来人口をシミュレートしてみたのです。そうしたら、とんでもないほど高齢化の波が急速に起こってくることが分かりました。特に柏市は団塊の世代とその二世が多いため、この人たちが年を取るたびに、多い時には「高齢化率」(人口のうち65歳以上が占める割合)が1年間に1%ぐらいずつ上がるのです。こうなると、まさに柏市は社会的にどのようになるのだろうかと案じました。
柏の場合は、ベッドタウンとしてほとんどの人が東京に勤めているので、寝るために家に帰ってくる。いわゆる「千葉都民」と言われてきました。彼らは地域の実情を知らない場合が多く、定年退職して地域に帰って来てもやることが限られてしまいます。
実際に柏の地域を支えてきたのは、その奥さま方なのです。PTAでも、全ての地域活動、町会活動など、奥さま方が担ってきているのです。夫たちが定年退職しても、地域のつながりがないものだから、何をしていいか分からない状態にあるのが現実のようです。
そこで、外に出るというと行き先となるのがスポーツクラブという行動パターンが多く見られます。ところが、スポーツクラブへ行っても2~3ヵ月でやめてしまう。なぜかというと、彼らは東京の会社の第一線で活躍してきた成功経験を持っている方々で、現役時代の意識の転換がうまく図れていないため、上から目線の話が多くなってしまい、お互いにお互いが嫌になる、友だちが出来ないからやめてしまう。その繰り返しで家から出なくなってしまうのです。
しかし団塊の世代はものすごい能力を持っている方が多く、パソコンは上手に使うし、ブログだってつくることができる。この人たちが柏市という地域で活躍できる状況をつくったら、「最大の戦力になるばかりか、彼ら自身の介護予防にもなる」と考えました。この対策こそ、首都圏の地方自治体にとって最大の課題だと思っています。

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