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重要文化財の耐震補強に使用された「軽くて強い炭素繊維 CABKOMA®」【前編】

2017.03.27

善光寺は、皇極天皇三年(644年)に創建され、国宝に指定されている本堂、数々の重要文化財指定を受けた建造物や寺宝で知られている。長野県長野市街の中心部に位置し、現在でも善光寺参りは多くの参拝者を集め、様々な飲食店や土産物店が並ぶ参道に立ち寄ることができたり、近隣に点在するお寺の作法に則った宿「宿坊」に泊まることができるなど、長野の観光と歴史を支える中心となってきた。

今回、善光寺の重要文化財「経蔵(きょうぞう)」が、耐震補強を行うにあたり、最新の炭素繊維素材「CABKOMA®(カボコーマ)ストランドロッド」(炭素繊維ロッド)を使用した工事が報道陣に公開された。

本堂の左手に見える、工事用の青い屋根に覆われているのが、耐震補強工事が行われている「経蔵」。

工事を行う前の経蔵

©善光寺

※CABKOMA®は小松精練株式会社の登録商標です。

軽くて強く、錆びず、持ち運びもしやすい炭素繊維ロッドCABKOMA

炭素繊維ロッド「CABKOMA」とは、石川県の染色・合成繊維メーカーの小松精練株式会社が開発した、ロープ状の熱可塑性炭素繊維複合材だ。炭素繊維ゆえに、素材自体が鉄の約4分の1の軽さで、引っ張り強度は鉄の約10倍、また、錆びない素材であること、耐熱性や耐薬品性などのメリットもある。炭素繊維そのものは日本製が世界の約70%のシェアを占めており、炭素繊維の活用が進む航空宇宙産業、風力発電などに加え、今後は建築業や、欧米やアジアでの需要増も見込まれている注目の素材だ。

写真左)CABKOMAの断面。
写真右)CABKOMAを巻き取ったロール。160mで約12kgと軽量で、持ち運びも可能。同じ強度のメタルワイヤだと約60kgの重さになるので、その軽さがわかるだろう。

写真提供:小松精練株式会社

日本の建築分野でも、コンクリートの建物を補修・補強する際に炭素繊維で強化した部材が使われるなど、強度、素材安定性、施工性において優れた建築部材として、今後ますます活用が見込まれている。

「経蔵」の屋根部分

CABKOMAは、日本の伝統工芸である組み紐の技術と、炭素繊維の技術を融合したロープ状の材料で、熱可塑性の樹脂が含浸されているため、熱成形や加工が容易。常温で保管できて、切り落とした端材の再利用も可能となっている。小松精練では、炭素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させる難しい工程で、独自の染色や薄膜の技術が生かされたという。組み紐の技術は、CABKOMAの被覆材に応用されている。

文/宮坂太郎 写真/福田栄美子

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