TOPICS 高齢者へのセラピー効果が期待されるメンタルコミットロボット「パロ」とは? 前編

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高齢者へのセラピー効果が期待されるメンタルコミットロボット「パロ」とは?【前編】

後編:高齢者へのセラピー効果が期待されるメンタルコミットロボット「パロ」とは?【後編】

2017.03.27

──認知症対策の国家戦略「新オレンジプラン」──

認知症高齢者の数は2025年には700万人を超えると予測されています。政府は、認知症対策のための国家戦略「新オレンジプラン」を策定し、「認知症高齢者の意思が尊重され、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現するための施策」の推進に乗り出しました。

戦略の7つの柱の一つには、「認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進」が謳われ、その具体策として「ロボット技術やICT技術を活用した機器等の開発支援・普及促進」が挙げられています。

大和ハウス工業でも超高齢社会における医療、介護、福祉分野の課題に応えるものとしてロボット事業を推進しています。今回はメンタルコミットロボット「パロ」(以下、パロ)の販売事業についてご紹介します。

パロは、「世界で最もセラピー効果があるロボット」としてギネスブック(2002年)に認定を受け、また、フランスの公的扶助パリ病院機構から「高齢者向け病院におけるより良い生活」のカテゴリーで「2015 Patient's Trophy」賞を授与されるなど、介護・医療の現場で高く評価され、国内に先んじて欧米の介護施設で積極的に導入され、広く普及し始めています。

  • ※パロは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(本部:茨城県つくば市)の柴田崇徳・上級主任研究員が開発し、2005年3月から株式会社知能システム(本社:富山県南砺市)がライセンス契約によって販売を開始。大和ハウス工業は2010年11月より販売を開始しました。
  • ※「メンタルコミットロボット」は国立研究開発法人産業技術総合研究所の登録商標です。
  • ※「PARO」、「パロ」は、株式会社 知能システムの登録商標です。
新オレンジプラン7つの柱
  1. ①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  2. ②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護の提供
  3. ③若年性認知症施策の強化
  4. ④認知症の人の介護者への支援
  1. ⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  2. ⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
  3. ⑦認知症の人やその家族の視点の重視

認知症リスクを高める高齢者の孤独を癒すロボット

就職などで都心に出ている子どもたち世代が地元に帰らないことや少子化、未婚率の上昇なども伴って、家族と世帯を共にしない一人暮らしの高齢者が増えています。そうした暮らしのなかで多くの高齢者が直面する問題が、家族や社会からの孤立や孤独です。

孤立している人の多くは孤独感を抱える傾向が強く、頻繁に人と交流している高齢者に比べて認知症になるリスクが高いことも明らかになってきています。パロは、認知症発症のリスクファクターの一つでもあるこの孤独感を癒す効果も期待できます。

パロは、欧米で広く普及しているアニマルセラピー効果が期待できるロボットで、アメリカにおいて「神経学的セラピー用医療機器」として、世界で初めて認められました。元気付け、ストレスの軽減、コミュニケーションの活性化等のメリットが得られる他、アレルギー、噛みつきなどの心配もなく、飼育・管理の手間も不要などロボットならではの利点も大きな特徴です。

パロとの触れ合いによる介護予防

パロは、体長57cm、体重2.55kg、白く柔らかな毛(制菌人口毛)におおわれたタテゴトアザラシの赤ちゃんの姿を模しています。首、前足、後ろ足、まぶたが可動し、それらの組み合わせにより本物の生き物のように動作します。

また、触れ合う相手や状況を感じるためのセンサにより、なでられたり抱かれている状況を認識したり、自分の名前を覚えたり、挨拶や褒められる言葉を学習したりします。人との触れ合いを重ねることにより、反応が変わったり、飼い主の好みに合せて行動したりするようになります。

2013年、神奈川県における介護ロボット普及推進の取り組みに際し、30体のパロを導入した高齢者施設において、柴田崇徳氏と国立研究開発法人産業技術総合研究所を主とする調査グループによってパロ導入前と導入2ヵ月後におけるセラピー効果の比較・分析が行われました(調査対象は23施設・ユニット、89名)。

結果は、DBDスケール(dementia behavior disturbance scale)と呼ばれる認知症行動障がい尺度28項目のうち次の5の項目において「有意に改善」したことが認められました。

  1. (1)「同じことを何度も何度も聞く」(N=89)
  2. (2)「特別な根拠もないのに人に言いがかりをつける」(N=88)
  3. (3)「特別な理由がないのに夜中起き出す」(N=76)
  4. (4)「よく物をなくしたり、置き場所を間違えたり、隠したりしている」(N=87)
  5. (5)「場違い、あるいは季節に合わない不適切な服装をする」(N=88)

(1)、(2)の行動が改善され、良い状態を保つことができれば、介護者の負担の軽減につながる可能性があります。また、(3)の行動が改善されたことは、パロが「見守り」の役割を果たすことができることを示唆しています。パロとの触れ合いが要介護者の日中の居眠りを防ぎ、不安を軽減することにより一日のリズムを作り、睡眠の質を改善していると考えられます。

※ 出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所等により開催第5回「アザラシ型ロボット・パロによるロボット・セラピー研究会」抄録集 10-15ページ

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