大和ハウス工業株式会社

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対談 【第3回】長寿社会における生きがいのあるまちづくり

高齢者のセカンドライフにおける新しい働き方

司会 生きがい就労については、ほかにどんな事例がありますか。

木村 「福祉サービス」があります。豊四季台団地の中に特別養護老人ホームがありますが、ここで就労実験をしています。この特養1カ所だけで80人近い高齢者が働いています。1人当たりにすると1日2~3時間、週に2日働くことを目標としています。普通の人が1人でやる仕事を3人でシェアする。6人で2人分をシェアするのが基本です。だから毎日2人働いていることになります。あとの4人は休んでいる。このワークシェアリングが、けっこううまくいっているのです。
彼らは、入居している高齢者の食事の世話をしています。普通は若い介護職員がやる部分を高齢者が請負うわけです。高齢者はお茶を入れたりするのも得意です。昔の話も一緒にできるんです。ただ食事を出すのではなく、話もできる。そうすると、その間に正規の若い職員が他の作業や介護サービスの準備ができるのです。
高齢者が働くと若い人たちの仕事を奪うのではとよく言われていますが、この豊四季台団地の特養ではむしろ逆です。高齢者が入ることで若い人たちの力が発揮できる。若い介護職員からは「非常に助かっています」と感謝されます。
高齢者たちは初めて同士が一緒に働く。そして、仲良くなる。たまに1カ月に1回ぐらい「お茶飲もうか」みたいな話になります。場合によっては「旅行でもいこうか」という話になる。これが新たな人間関係をつくるのです。それが非常に大きな効果を生んでいます。
これは新しい働き方ですよね。これは事業者にも協力してもらわないとできないです。事業者が理解、対応をしてくれれば、地域のニーズに合わせた高齢者の働き方はできるのです。賃金も、最低賃金はクリアしています。

秋山 高齢者だから雇ってあげるではなく、高齢者を雇用すると事業としてメリットがある仕組みをつくりたいのです。採算をとって事業を回していく。地元の企業も大企業も、農家も、高齢者を雇用するメリットを享受できる仕組みをつくりたいのです。

司会 高齢者の中には時給が高い方もおられるのでしょうか。

秋山 地元の学習塾の経営者が新たに開設した学童保育塾「ネクスファ」では、海外での駐在経験の長い元商社マンが受験英語ではない生きた英語を教えたり、ロボットを開発していた人が、レゴを使ってロボットをつくることを子どもたちに教えたりしています。そういう仕事は高い時給をもらっています。

司会 高齢者でも、いつまでも高い時給をもらえるのはすごいですね。

木村 学童保育で教えている方は、73歳くらいの方です。普通、70歳を超えたら仕事はないですよ。

豊四季台団地敷地内に設置されたアグリキューブ

栽培しているプラント

司会 アグリキューブでも、すでに5人の高齢者が働いておられるそうですね。

廣瀬 この地域には農業に関心がある方が多くいらっしゃいます。その中で、「土いじり」ではない農業に関心を持っておられたのがこの5人でした。新しいものにチャレンジしてみたいという思いが強く、普通の農業ではなく、ああいうユニットで、今までに触れたことのない機器や、水耕栽培の仕組みに興味を持たれました。
リーダーの男性は、元は技術系の公務員で、アグリキューブのマニュアルを参考に自分たちでやってみて、その内容に関してや、配管の設置場所など事細かに改善提案をいただいています。
大和ハウスにも、アグリキューブを使った事業スキームはまだないのですが、どういう野菜をつくったらコストメリットがあって儲けが出るのか、どう栽培したら効率がいいか、どこが販路になり得るかなども考えていただいています。

司会 アグリキューブでは、高齢者は1日何時間くらい働かれるのですか。

佐藤 短い時だと現状確認だけで30分の時もありますし、一番時間がかかる作業は、収穫後の清掃で、プレート等を洗うのに2~3時間がかかっています。

秋山 最初の種蒔きでは通常は発芽する種が少ないそうですが、5人でマニュアルを読み、それ以上のことをインターネットなどで調べて知恵を出しあって工夫した結果、ほとんどの種が発芽したそうです。万歳!働き始めるまで知り合いではなかったメンバーの間に強い仲間意識が生まれます。
先日もNHKのニュースに、アグリキューブで働く方が奥さまと一緒に出演されたそうですが、それまでは家で暇そうにしていたのに、がぜん目が輝いて若い頃に戻ったそうです。

廣瀬 新しいチャレンジで探究心が出てそれが成果になったから、このような生き生きした姿になっているのでしょうね。

木村 植物の成長を自分たちで記録し、研究もどんどん広がっていった。あれは素晴らしいと思いましたね。

佐藤 5名の方は、ただ単純労働をしているわけではなく、どういった栽培計画をすればコストパフォーマンスがよくなるのかなど、全体の計画立案までしていただきました。

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