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「セキュレア豊田柿本」(愛知県豊田市)「電力融通」や、「エネルギー自給住宅」の実現

2017年9月

「電力融通」や、「エネルギー自給住宅」の実現

左から豊田市 副市長 杉山 基明様、当社 常務執行役員 大友

愛知県豊田市に戸建住宅間での「電力融通」や「エネルギー自給住宅」を実現させる街「セキュレア豊田柿本」(全21戸の戸建住宅※分譲済)が誕生しました。

概要

当社は、環境モデル都市である愛知県豊田市の市有地売却に係るプロポーザルにおいて、事業者に選定され、「SMA×ECO PROJECT(スマ・エコ プロジェクト)」※1の第6弾となる「セキュレア豊田柿本」の街びらきを行いました。
この街では、住まい手がエネルギーを無理なく・無駄なく・快適に使うことができる仕組みを取り入れるとともに、街のCO2排出量削減とエネルギーのピークシフト・ピークカットを実現するスマートタウンを目指しています。
具体的には、戸建住宅間の「電力の融通」をはじめ、全ての戸建住宅に太陽光発電とリチウムイオン蓄電池(6.2kWh)を組み合わせたハイブリッドシステムや、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を搭載するとともに、街全体のエネルギーの見える化システム「SMA×ECOクラウド」や調整池の上部に太陽光発電システムを導入することで、ネット・ゼロ・エネルギー・タウン※2を計画しています。

※1 当社が展開する街に新たな価値を提供するプロジェクト

※2 住宅の躯体や設備の省エネ性能の向上、再生可能エネルギーの活用等により、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロまたは概ねゼロとなる街のこと。

「セキュレア豊田柿本」の街区図

「セキュレア豊田柿本」の街区図

街区内の戸建住宅で、「電力融通」を実施

当社では、住宅単体では限界があるエネルギーの効率利用とそれに伴うCO2排出量削減を、街区単位で取り組むことで、効果の拡大を図っています。この考えに基づく取り組みの一つが、街区内の戸建住宅で行う「電力融通」です。これまでにも、街区単位での電力の融通を行っている事例はいくつかありますが、いずれも特定供給を行うために、国から特区の認定を受けたり、大規模なエネルギーマネジメントシステムを整備したりと、なかなか普及には至っていません。
そこで、この街では融通街区全体(太陽光発電システムがある調整池用地、集会所があるスマエコステーション用地、住宅3棟の用地)を一つの電力需要場所とし、街区内にある機器の接続方法を工夫することで、簡易な形で電力を融通し合うことを目指しています。
具体的には、融通街区内の太陽光発電の発電電力と蓄電池の放電電力は、集会所については余剰を、住宅については全量を当社グループ会社の大和エネルギーが買い取り、融通街区内の電力需要があるところに電力を配電します。
また、融通街区内で電力が不足した場合は、電力会社から電力の供給を受け、融通街区内で余れば太陽光発電システムで発電した電力のみを電力会社に送ります。このように、融通街区内では電力の創出と消費を行うことで電力の地産地消を行い、できるだけ系統電力への負荷を減らしています。
つまり、融通街区内に設置している太陽光発電システムやリチウムイオン蓄電池の発電・蓄電した電力を、大和エネルギーが一括管理することで機器の効率を向上させ、電力の安定供給を可能にしています。
今回行った「街区内の電力融通」は、戸建住宅における新たな電力需給のカタチです。今後は普及も見据えて、初期費用や維持・保守費用などをできるだけ抑えたシステムにしていきます。

電力自給タウン説明動画(約2分)

「電力融通」による効果と、今後の展開

蓄電池には、蓄電池自体の劣化を防ぐため、ある一定量の電力負荷がかからないと作動しないという機能が備わっています。そのため、3軒分の住宅の消費電力をまとめることで、蓄電池から放電する機会を増やし、蓄電池の稼働率と放電時の変換効率を向上させます。

また住まい手の光熱費も、現在の「再生可能エネルギー固定価格買取制度」において、個別の住宅であれば太陽光発電設備の容量が10kW未満のため、固定価格での買取期間は10年間になるところ、この融通街区全体で一つの発電設備として認定されているため、買取単価は下がるものの期間は20年となり、さらにこの街区では通常とは異なり太陽光発電と蓄電池の放電が全量で大和エネルギーに買い取られます。また、災害などによる停電時でも、融通街区内の太陽光発電システムやリチウムイオン蓄電池を有効に活用できます。

今回、異なる宅地に設置した複数台の蓄電池をバランスよく制御することがポイントの一つでした。これをスピーディーに実現できたのは、当社グループ等が連携し、電力融通の仕組みを作ったためです。
今後は、今回得られた電力需給と融通の効果の実績データを有効に活用し、さらなる規模の拡大を見据えて取り組みを推進するとともに、エネルギー事業として確立していくため、ネガワット取引※1などの取引形態の多様性も視野に入れ、まち単位でのエネルギーの最適な需給形態を追求していきます。

※1 発電した電力に加えて節電した電力の取引も可能となる取引

※2 エリーパワー:当社グループが出資

「エネルギー自給住宅」を建設、完成から一年間はモデルハウスとして一般公開

現在、国でも普及が進められているZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、計算上エネルギー収支が±0になるという概念的なものであるのに対し、「エネルギー自給住宅」は電力をできるだけ購入しない住宅です。
当社が考える「エネルギー自給住宅」は、太陽光発電システムの設置容量を増やして解決するものではなく、消費する電力を極力抑え、無駄のないようにエネルギーをマネジメントした上で、使用する電力を太陽光発電で発電したり蓄電した電力でまかなったりするものです。建設費用についても、全国に普及させることを目的として、開発を進めました。
そのための工夫として、給湯器では、通常、深夜電力でお湯を沸かし日中に使用しますが、このエネルギー自給住宅では太陽光発電の電力で昼間にお湯を沸して夜にかけて使います。これにより、太陽光発電で創出した電力をそのまま給湯に使うことができ、外気温が高い時間帯に使用することで給湯器自体の効率も上がります。
また、太陽光発電の余った電力は蓄電池に蓄えます。通常、深夜電力を購入して充電し昼間使う運転プログラムとなっていますが、自給モデルは逆に、太陽光発電の余剰分を昼間に充電し、夜間の団らん時間に利用します。
これらの機器や断熱性能の向上に加え、気流や日陰による温熱環境の負荷低減を考えた、パッシブデザインも重要な役割を果たしています。夏場の熱い空気を吹き抜けの上に設けた窓から外に排出したり、窓から室内に直射日光が入らないよう、庭に植栽や日よけを配置したりなどの工夫をしています。
このような様々な技術・工夫により、太陽光発電の搭載容量を6.16kWに抑えながら、春から秋にかけてエネルギー自給ができる住宅を建設しました。
この「エネルギー自給住宅」は、完成後一年間はモデルルームとして一般に公開、各種イベントや勉強会を行いました。

(1)断熱性能向上

住まい全体を高断熱化することで、夏も冬も快適な空間を保ち、冷暖房コストを大幅に削減します。エネルギー自給住宅では、高いレベルの断熱仕様を採用しています。

外張り断熱通気外壁
Σ エクストラ断熱仕様

樹脂サッシ

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(2)パッシブデザイン

電気やガスなどのエネルギーに頼らず、自然の力を利用して熱や空気の流れをコントロールし、夏や冬でも快適な暮らしの実現を目指します。
太陽の高度が高い夏は、ひさしやオーニング(日よけ)などで日差しを遮ります。遮熱平板舗装による輻射熱低減や緑化フェンスの蒸散効果で、室内への熱の流入を軽減します。また、吹き抜けにつながるリビングの建具を開放することで、暖かい空気を吹き抜けの上部にある窓から外へ排出します。太陽の高度が低くなる冬は、緑化フェンスの葉が落ち、オーニングを閉じることで日差しを室内まで取り込みます。
このように自然の力を上手に使って、空調負荷を低減させています。

熱線遮断オーニング、遮熱平板舗装、緑化フェンス

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(3)太陽光発電

住宅の屋根に設置し、無限でクリーンな太陽光を使って発電するシステム。日々の光熱費を抑えるだけでなく、停電時の備えとしても活躍します。今回のエネルギー自給住宅では、6.16㎾の容量を搭載しています。

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(4)換気システム

涼なび
春・秋は、暖かい空気が上昇する自然の力を使い、室内の熱を外に排出。冷房の使用量削減をサポートします。夏は、自動でファンを運転し、熱を強制排出。冬は、ダンパーを閉じて冷気の侵入を防ぎます。

風なびRX
外気を室温に近づけて給気する熱交換型の24時間換気システム。快適な空気環境を維持するとともに、冷暖房時の省エネにも貢献します。

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(5)リチウムイオン蓄電池

「POWER iE 6 HYBRID(パワーイエ・シックス・ハイブリッド)」(エリーパワー社製)

長寿命で充放電効率が高い、リチウムイオン蓄電池。今回のエネルギー自給住宅では、太陽光発電と組み合わせたハイブリッドシステム(6.2kWh)を2台接続しています。(計12.4kWh)

(6)省エネ設備

LED照明 / エコキュート

ヒートポンプ給湯器(エコキュート)やLED照明など、少ないエネルギーで快適な暮らしを支える省エネ設備を採用しています。

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(7)床下熱交換システム

夏期に床下の冷たい空気を利用して冷房補助を行うシステム。

床下熱交換システム本体 / 吹き出し口

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(8)HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)

当社独自のホーム・エネルギー・マネジメント・システム「D-HEMS 3」は、家庭内のエネルギー状況を見える化するとともに、エコ達成度チェックやエコアドバイス機能を活用し、楽しく家族で省エネに取り組んでいただけます。また、空調や照明などの集中コントロールもでき、消し忘れによるムダ使いも防ぎます。
さらに、各戸からデータを収集し、まち全体のエネルギーを見える化するシステムが「SMA×ECOクラウド」です。これは、まち全体のエネルギー利用状況等の確認や当社が開発した全国のスマートタウンとの比較ができます。

住まいのエネルギー状況を見える化する「D-HEMS 3(ディー・ヘムス・スリー)」

街全体のエネルギー状況を見える化する「SMA×ECOクラウド」

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スマ・エコステーションの整備

街区内にある調整池横に、スマ・エコステーションを設け、調整池上部の太陽光発電システムで創られた電力やリチウムイオン蓄電池で貯めた電力を、EV(電気自動車)充電器や防犯灯(街路灯)へ供給します。
防災面では、災害時に活用する用具を保管する防災倉庫をスマ・エコステーションに設置。災害により、ライフラインが一時的に断たれた場合には、調整池上部の太陽光発電システムやスマ・エコステーションの電力を非常用電力として利用することもできます。

景観協定・電線類地中化

建設時のトータルコーディネートされた良好な景観を、将来にわたって守り、まちの価値を維持し続けるために、「セキュレア豊田柿本景観協定」と街づくりガイドラインを制定しています。
また、電線類を地中化することにより、まちの景観を阻害する電柱や電線類がなく、広い空を見渡せる景観づくりも実施しています。
加えて電柱・電線をなくすことは、災害時に電柱の倒壊や倒木による断線の発生もなく、安全性の向上にもつながります。

豊田市長の声

「ミライのフツー」を先取りする街の良さを、
市民に伝えライフスタイルの転換を期待

豊田市は環境モデル都市として、市民が無理なく無駄なく快適に「エコな暮らし」が実現できる社会を目指しています。セキュレア豊田柿本は、街区全体が、豊田市が推進する「太陽光発電、HEMS、蓄電池」を装備したスマートハウスで構成され、エネルギー自給住宅や住宅間の電力融通に挑戦するなど、「ミライのフツー」を先取りするまちです。先進的な取り組みの発信を通じて、市民の皆さんのライフスタイルの転換や、本市への定住が促進されることを期待しています。

豊田市長 太田 稔彦様

豊田市長
太田 稔彦様

支店長の声

電力融通やエネルギー自給住宅の実現と
その良さを伝え、社会への普及を図る

セキュレア豊田柿本は、当社グループ会社などが連携することにより電力融通やエネルギー自給住宅といった先進的な取り組みをスピーディーに実現することができました。また、「エネルギー自給住宅」は完成後一年間モデルルームとして一般に公開、イベントや勉強会を実施し、市民の皆さまをはじめ様々な方々に、この街の良さをお伝えしていきたいと考えています。今後も、積極的に環境に配慮したネット・ゼロ・エネルギー・タウンの普及を進めていきます。

当社 豊田支店長 鈴木 博巳

当社 豊田支店長
鈴木 博巳

担当者の声

豊田市のお客さまは、環境意識が高く、太陽光発電や蓄電池などの環境アイテムが新しい家に設置されているのは当たり前という認識をお持ちの方が多いですが、この街の電力融通やエネルギー自給住宅については、新しい取り組みと感じていただけると思います。 今後、エネルギー自給住宅での見学会やイベントを通じて、お客さまにしっかりと説明をしてメリットをご理解いただき、既に普及を進めているZEHに加えて、エネルギー自給住宅も普及させていきたいと考えています。

当社 豊田支店 住宅営業所 課長 高橋 健也

当社 豊田支店 住宅営業所 課長
高橋 健也

担当者の声

現場担当者として、まちづくり全般に携わり、先進技術の導入やその技術を街で維持する仕組みづくりを通し、多くのノウハウを得ました。
特に、当社のスマートタウン初となる低圧受電での電力融通の実現には困難な局面も多々ありましたが、当社グループ会社などが一丸となり取り組んだ結果、実現できました。また、団地管理組合法人の組成や運営の仕組みを構築し、まちの自立を目指します。
今後はこのプロジェクトで得た経験や技術を活かし、価値共創グループの一員として、多くの方々に喜んでいただけるまちづくりを展開していきます。

当社 大阪都市開発部 主任 井上 知則

当社 大阪都市開発部 主任
井上 知則

※掲載の内容は、2017年9月現在のものです。

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