SMART ECO-TOWNS サステナブルな街 豊洲(東京都)

多種多様な樹木の苗木が育つ「新豊洲の森」。22世紀には水と緑にあふれた美しい街の象徴になる。

街

サステナブルな街 特集

TOYOSU22「グリーン、コミュニティ、エネルギーの創出で、22世紀につなぐスマートシティー」

豊洲(東京都)

2020.02.28

東京のベイエリア豊洲で、スマートエネルギーシティ「TOYOSU22」の開発が始まっています。街を支えるエネルギーの拠点「東京ガス豊洲スマートエネルギーセンター」から豊洲市場と複合施設「Dタワー豊洲」に効率的にエネルギーを供給。暫定施設の一つである「チームラボプラネッツTOKYO」には年間80万人が訪れ、東京の新名所となっています。22世紀を見据えたサステナブルなまちづくりを取材しました。

お話を伺った方

花崎光 さん

東京ガス不動産株式会社 開発営業本部 営業部営業第一グループ課長
東京ガス不動産が豊洲に所有する18haの土地利用を担当。

TOYOSU22のコンセプトは3つのスマート

TOYOSU22では、22世紀につなぐまちづくりのコンセプトとして、3つのスマートを掲げています。

TOYOSU22

「3つのスマートとは、スマートグリーン、スマートコミュニティ、スマートエネルギーです。このうちスマートグリーンは、三方を海に囲まれた環境に緑を加えることで、豊洲を水と緑にあふれた美しいエリアにしようという発想です。時間はかかりますが、22世紀になる頃の豊洲には、立派な森に育っているはずです(花崎さん)」

三方を海に囲まれ、区域5・6・7に豊洲市場が設置された豊洲エリア。TOYOSU22は、域内を走る東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)の市場前駅と新豊洲駅にまたがる区域2・4で展開される

スマートグリーンは、自然の緑と都市の緑をクロスさせる「グリーンクロス」を目指しています。自然の緑の実践が、苗木から森をつくる「新豊洲の森」プロジェクト。東京ガス不動産が苗木の購入費用などを負担し、社員の手で植樹されました。生物多様性にも寄与する本格的な森になるよう樹木が選定されているほか、一部には遊歩道が整備してあり、イベントなどの開催時には開放されて参加者の憩いの場になっています。

SMART GREEN

2014年に植樹が行われた「新豊洲の森」は東京ガス豊洲スマートエネルギーセンターとDタワー豊洲のすぐ近くに広がっている。

「スマートコミュニティという柱を立てたのは、人と人の関わり合いを重視し、多様な方々が集まって多様な活動をする場を提供するという意思表示です。テーマをSPORT×ARTとおき、さまざまな取り組みを進めています(花崎さん)」

SPORTの取り組みとして先行するのが、2017年度にグッドデザイン賞を受賞したスポーツ練習施設です。全天候型60m陸上競技トラックでは、東京ガス不動産が日曜日を除く毎日、小学生向けの「かけっこスクール」を運営しています。このほか、50m走測定会など大人も参加できるスポーツイベントが開催され、数百人近くの幅広い年齢層の人々が集まることも。施設レンタルも行なっており、地域で運動会を開催したいといったニーズに応えています。

また、東京ガス豊洲スマートエネルギーセンターは先進的なエネルギーシステムの発信拠点として、人々が集い学ぶ、コミュニティの場になっています。

「開設から3年半ほどになりますが、行政・企業の色々な方をお招きして、継続的に見学会を開催してきました。高効率な地域エネルギーシステムを見学していただいて、他の地域でもサステナブルなエネルギーが広がっていくきっかけになればと思っています(花崎さん)」

使う場所の近くで発電することで、排熱もスマートに利用

TOYOSU22では、スマートエネルギーの取り組みとして街の中にガス発電設備と太陽光などの再生可能エネルギー発電設備を備えています。使う場所のすぐ近くで発電することで、通常の大規模発電所では排熱として捨てられている発電時に発生する熱を、地域全体の冷暖房に活用することができます。

SMART ENERGY

東京ガス豊洲スマートエネルギーセンター

また、東京ガス豊洲スマートエネルギーセンターに隣接する豊洲市場と、TOYOSU22第1号(暫定施設を除く)の建造物となる「Dタワー豊洲」、今後計画される市街地が一つのICTエネルギーネットワークでつながります。これにより、電力や熱の需要と供給を一括管理し、必要なときに必要なだけつくり、必要な場所に最適に配分することができます。

TOYOSU22 ①~⑩暫定事業 (A)東京ガス豊洲スマートエネルギーセンター (B)Dタワー豊洲 (C)(仮称)豊洲六丁目4-2,3街区プロジェクト

区域2・4に建設される(暫定施設を除く)建物がスマートエネルギーネットワークでつながります。

こうした地域分散型エネルギーシステムは、排熱の有効利用に加えて、長距離送電の過程で放電してしまう電力ロスを大幅に抑制でき、省エネ・省CO2に効果的です。また、停電時の対応力が高く、防災の観点からも優れています。

BCP 対応型スマートエネルギーセンター

都市ガスをエネルギー源に発電します。発電時に発生する熱で蒸気・温水・冷水をつくり、地域全体で冷暖房に活用する高効率なエネルギー供給システムです。

「BCP対応として、発電システムにブラックアウトスタート仕様を採用しています。また、自営の電線と、災害に強い中圧ガス導管を敷設しました。これらにより、東京電力が停電しても熱と電気を継続的に供給できる設備になっています。これらの取り組みは街の付加価値の創出に寄与し、サステナブルなまちづくりにも貢献できると考えています」(東京ガス)

今後、まちづくりの計画が進むほどエネルギー需要が増加することを見込み、東京ガス豊洲スマートエネルギーセンターではプラント増強のスペースを用意しています。

TOYOSU22のスマートコミュニティを担う「Dタワー豊洲」

東京ガス豊洲スマートエネルギーセンターに隣接する「Dタワー豊洲」の担当者に聞きました。

お話を伺った方

竹田雅史

大和ハウス工業株式会社 東京本店 建築事業部

「東京ガス豊洲スマートエネルギーセンターが冷暖房のエネルギーを一括供給してくれるので、通常は必要になる空調設備の設置費用のコスト削減ができました。また、空調設備のスペースが節約でき、室外機がいらないので景観の面でもメリットを感じています(竹田)」

都心では珍しい広大な区画で構成されるTOYOSU22には、新しく挑戦的なアイデアやコンテンツが多数集まっていますが、その一つが「Dタワー豊洲」の中核施設である低酸素環境トレーニングジムです。標高2,000〜4,000m相当の低酸素環境を実現し、負荷の高いトレーニングを可能にしました。

「トップアスリートに向けて、低酸素環境下でトレーニングをしてもらおう、という着想で企画しました。トップアスリートは、高地に遠征してトレーニングをしていますが、移動と現地での生活は高コストです。一般的なスポーツ施設にはない世界屈指のトレーニング環境を東京にいながら利用できるという提案です。あらゆる種目のトップアスリートをはじめ、アスリートマインドを持つ一般の方々にも活用していただける施設です(竹田)」

こちらもチェック

宿泊施設、トレーニング施設を兼ね備えた、スマートコミュニティを担う複合施設
「Dタワー豊洲」の内部を動画でご覧いただけます。

すでに誰もが知るトップアスリートが利用しており、いずれは未来のアスリートの育成も視野に入れているとのこと。SPORT×ARTという街としてのコミュニティコンセプトがあるなかで、スポーツの切り口から街の魅力を育てていく計画です。トレーニング目的の滞在を見越した併設ホテルは、客室の1割に相当するワンフロア30室をバリアフリー仕様にすることで、さまざまな方が利用しやすい施設を目指しています。「Dタワー豊洲の屋外スペースは、にぎわいと緑を調和させるデザインとしました。4つあるオープンスペースを地域のコミュニティ拠点として育てていきたいと思います。また、大和ハウス工業としても豊洲エリア進出企業として、人が集まる仕掛けづくりを、地域と連動し行っていきます(竹田)」

SMART COMMUNITY

低酸素環境トレーニングジム「ASICS Sports Complex TOKYO BAY」が入居するDタワー豊洲

まちづくりはまだ始まったばかりですが、花崎さんは次のように未来を見据えています。

「TOYOSU22の22は、22世紀に受け継ぐことのできる持続可能なまちづくりをしていきたいという意思の表れです。そこから生まれたのが、スマートグリーン、スマートコミュニティ、スマートエネルギーという3つのコンセプト。これからいくつもの大規模プロジェクトを進めるなかで、局面ごとに色々な状況、変化があると思います。それでも、この3つを育て、まちづくりに反映し続けていくことが、街で暮らす人、訪れる人にとって大切だと思っています。」

東京の中心部に位置するサステナブルな街「TOYOSU22」は、22世紀に向けてどのように育っていくのでしょうか。その成長から目が離せません。

RECOMMEND おすすめコンテンツRECOMMEND おすすめコンテンツ

このページの先頭へ