DIALOG1

建設業界における
ダイバーシティと
女性活躍の意義は?

女性社員や管理職が少ないと指摘される建設業界。大和ハウス工業はダイバーシティへの取り組みとして、工事職や営業職など、特に女性の比率が少なかった職域に、積極的に女性社員の配属を推進してきました。このうち施工管理には、152名もの女性技術者が従事しています。
ダイアログ第1回は、この施工管理の一人として活躍する岸野可奈子さんと、日本企業における女性活躍のフロンティアとして家電製品の研究開発に従事されたご経験を持ち、現在は大和ハウス工業の社外取締役である籔ゆき子さんを迎えて、男性中心の職場における女性活躍の意義について語っていただきました。

CONTRIBUTORS

今回、対話するのは・・・

岸野 可奈子

施工管理を担当し、建設現場をリードしています!

岸野 可奈子

大和ハウス工業株式会社
大阪中央支店 集合住宅工事課
主任

2008年に大和ハウス工業入社。2013年度社内仮設計画図コンペで優勝。3年連続1位となり、優秀社員としてアメリカ研修へ参加した経験を持つ。現在はチームリーダーとして若手の教育も担当している。

籔 ゆき子

社外取締役の立場から企業における女性活躍を応援しています!

籔 ゆき子

大和ハウス工業株式会社
社外取締役

1981年、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)入社。一貫して洗濯機の開発・商品企画に従事。その後アプライアンス社くらし研究所所長、グローバルコンシューマーリサーチセンター所長・理事として海外の生活研究拠点を統括、現地に根差した商品開発を支援。2014年に同社を退社。現在、大和ハウス工業を含めて2社の社外取締役。

女性技術者、女性リーダーとして働くということ

ものづくりの最前線で技術者として現場をリード

岸野:施工管理は、一般に現場監督と呼ばれる仕事です。作業着・ヘルメット・安全靴を身に着け、お客さまとのお約束どおりにお引き渡しできるよう、現場の品質・安全・工程・原価を管理します。
まさに、ものづくりの最前線にある仕事です。設計図に込められたお客さまや設計士の思いをくみ取り、一つ残らず形にしていき、時にはそれ以上のものに仕上げていく力量と、技術者としての提案力が求められます。もともと、建築に携わるのが夢で、阪神・淡路大震災の経験から、大学では耐震工学を学びました。入社してすぐの頃は、経験も知識も十分でなく、必死にもがきながら勉強を重ねる日々でした。今では、技術者として得た知識と経験が、ものづくりに向き合う同志をつなぎ、現場の信頼関係と高いモチベーションにも生かされていると感じます。

技術者、リーダー、そして女性という共通点

籔:私はもともと技術者として長年、洗濯機の商品開発に従事してきました。ななめドラム洗濯乾燥機の開発では、商品企画チームリーダーとして、開発、調達、生産、営業まで、さまざまな職種の人たちをまとめてきたという点で、岸野さんと共通するところがあります。私が就職したのは、まだ男女雇用機会均等法が制定される前で、多くの企業で女性の大学卒の採用枠が存在しませんでした。それでも、これからの洗濯機の開発には女性技術者が必要だと請われて、大学の研究室にいた私に声がかかり、入社することになったのです。技術者としても、管理職やプロジェクトリーダーに昇格するときも、事業部の中で常に「女性初」でした。女性が少ない企業環境で仕事をしてきた、という点でも、岸野さんと同じです。

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「異なる価値観」のぶつかり合いから生まれるイノベーション

「女性だから」ではなく「私だから」の精神で仕事をする

岸野:私が入社した13年前、まだ建設現場は男性ばかりで、初めて女性の工事担当を部下に持った上司・先輩方も戸惑われたと思います。それでも、まずは自分がどうなりたいか、どうしたいか、どういう思いで仕事をしていきたいかを大事にしてきました。そうやって経験を積んでいけば、どんな職種でも、どんな仕事でもできるようになる。「女性だから」できない、という仕事はないと思います。一方で、「女性だから」注目される、ということもよくあります。でも私自身は、「女性だからではなく、私だからですよ」と、自信を持って言えるような仕事ができていればいいと思うんです。だからこそ、いつも「人に誇れる仕事ができたか」と自問しています。

「違い」から価値を生み、「違い」をまとめるチームワークの重要性

籔:とても共感します。これまで当社の技術職は男性の世界で、いろいろなことが男性のやり方や枠の中で進んできたのでしょう。そこに岸野さんが入ることで、お客さまや従業員にとって本当にそのやり方がベストなのか、初めて気付かされることがある。私は、やはり男性と女性には生物学的な違いもあり、また私たちには性別に限らず、世代や専門性、あるいはプライベートな環境なども含め、それぞれに「違い」があります。そして、こうした「違い」に基づいた異なる価値観にのぶつかり合いの中からしか、新しいアイデアや新たな価値は生まれてこないとも思います。お客さまが期待しているものを、それ以上のものにして返す、というのが技術者の心情としてありますが、具現化するには、さまざまな役割を担う多様な人々のチームワークが必要です。多様なチームのマネジメントは、女性のほうが向いている部分があるとも感じます。ダイバーシティ&インクルージョンとは、企業組織において、違いを強みに変えることだと思います。

「きれいな現場で仕事をしたい」思いと行動が周囲を変えた

岸野:入社して間もない、まだ技術も経験も信頼関係もない頃、とにかく私にできることをやろうと思い、よく現場の片付けや掃除をしていました。どうしても、現場は汚いものというイメージがありますが、それは前提ではなく、いくらでもきれいに快適にできる、と考えていたからです。続けるうちに、だんだんと職人さんやみんなも汚さないよう意識してくれるようになりました。みんながきれいな現場の快適さに共感して自然にそうなったのだと思います。違うと思ったことを行動に移すことで、今までの先入観を解放して、変化を起こせたのかも、と振り返ってみて思います。

きれいな環境は現場の安全・品質向上につながる

籔:それはすごいですね。まさに岸野さんの行動は、建物の品質や現場の安全につながっていくものです。工場などでも、きれいに整理整頓された環境にしておかないと、不良品ができてしまうということは自明の理です。岸野さんの行動を見て、現場で働くみなさんも、そうした重要性に改めて気が付かれたのでしょう。ダイバーシティがもたらした価値の好事例です。

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多様性がレジリエントでサステナブルな組織と社会を創る

建設業における女性活躍のリーディングカンパニーとして

籔:岸野さんのように、女性が少ない職種への積極配属をはじめ、仕事と育児との両立支援や女性管理職を増やすダイバーシティへの取り組みが評価され、大和ハウス工業は内閣府による「女性が輝く先進企業2020」として表彰されました。これは本当に素晴らしいことです。今、世の中の先行きは非常に不透明で、私たちは数々の社会課題を抱えています。日本では少子高齢化による労働力不足があり、特に建設業界で深刻(注)です。こうした変化や困難に適応し、ばねのように跳ね返す力を使って飛躍していけるような、レジリエントでしなやかな組織を創るには、多様な人々が意思決定の場に参画することが重要です。街づくり、住まいづくりという社会インフラを担う当社には、女性活躍をリードする使命があると思います。今後、継続的な女性管理職登用やリーダーの人財育成がダイバーシティ深化への課題ですが、大和ハウス工業には、その大きなポテンシャルがあると感じています。

注:「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」厚生労働省, 2019年, p81. https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-1_01.pdf

「変革者」となるために、まずは管理職を目指したい

岸野:今はまだ現場管理や後輩指導など、身近な範囲でのマネジメント経験を積んでいる段階ですが、将来は、より良い住まいづくり、街づくりのために、もっと広い視野で変えるべきことがあれば「変える」という意思決定ができる立場を目指したいです。そのために、まずは管理職を経験し、その上で技術を磨き、建設業界全体が良い方向へ進むように貢献できればと思います。大和ハウス工業は一人ひとりの「こうなりたい」「こうしたい」という思いに必ず応えてくれる会社です。社員同士も、協力会社の方々も、それぞれの思いの実現に向けて、お互いに協力しながら、みんなで創っていく団結力があります。そうやって共に経験を積みながら私自身も成長し続けていきたいと思います。

幸運とは、準備と機会がめぐり合うこと

籔:管理職になる機会があったら、ぜひつかんでください。それまでにしっかり準備をしておいて。幸運の女神は前髪しかない、といわれるように、その時につかまなければチャンスは逃げていきますから。女性の場合は、良いオファーがあっても、100%自分がそれをやれる自信がないと受けない、自己肯定力が低いところがあるように感じます。半分ぐらいやれる自信があったらポジティブに捉えてやるべきだと思うんです。駄目だったらまた次のやり方を考えたらいいし、引き返せばよいのです。ぜひ、そういう形で自分の幅を広げ、ストレッチできるようなキャリアを積み重ねていっていただきたいと思います。

大和ハウス工業らしい一人ひとりの主体性を大切にした女性活躍を目指して

籔:もちろん、女性活躍とは、必ずしも管理職を増やすことだけが目的ではありません。岸野さんのように、自らが自分のやりたいことや、専門性を生かして社内で研さんを積み、仕事で成果を上げることで事業や社会に貢献する、その結果が管理職につながるのだと思います。女性管理職の存在は、後に続く女性たちのロールモデルとなり、モチベーションをアップさせ、企業組織の活力を向上させます。現場にも意思決定の場にも女性が増えることで、多様性が増し、レジリエントでサステナブルな組織につながります。言うまでもなく女性活躍推進は、ダイバーシティ経営には大変重要な取り組みです。今日は実際に現場で活躍している岸野さんのお話を伺えてとても頼もしくうれしく思いました。ぜひ、これからも大和ハウスグループの中で、女性のパワーを大いに発揮して活躍して下さい。

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まとめ

建設業界における女性活躍の意義とは、長年の現場の当たり前が変わるきっかけとなり、働く人それぞれの持ち味を生かすことで、安全と品質がさらに向上すること

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籔取締役は洗濯機の研究開発、岸野さんは建設現場の施工管理と全く異なる仕事ながら、ものづくりに携わる技術者として、お客さまの期待を超えるものをつくりたいという思いにお二人が共感されていたのが印象的でした。そしてそれは性別を超えた思いだと感じます。男性中心のイメージがいまだ強い建設現場ですが、岸野さんのような女性社員たちが道を切り開いてくれていることで、着実に女性が増えており、女性が活躍することで女性も男性もシニアも若手も、誰もが働きやすい職場へと変化しています。今後も建設業界がサステナブルな業界であるために、一層取り組みを進めたいと思います。(サステナビリティ企画部長 近久啓太)


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