対談 【第1回】サステナビリティを考える

サステナブルな企業になれるかどうかは、『人財』で決まる(樋口)

枝廣 昨年日経新聞に掲載されていた会長の「私の履歴書」でも、創業者の先見力が見て取れますが、経営者としてとても大事な能力の一つに「先見力」を挙げていらっしゃいます。社員の方に、「稟議書は後でも良いんだよ」と言う時に、将来にわたって良いことなのかという判断基準は、実はとても分かりにくい。そのあたり、先見力の身に付けさせ方とか、将来にわたってというときの判断基準をどうやって社員みんなで共有するのかを是非お伺いしたいのです。

樋口 創業者は細かく全部説明しないのです。「樋口君、要は勘が先やで」と。「理屈は後から付いてくる」。といっても、多くの経験を積んだ上での勘であって、ヤマ勘でやれと言ったわけではない。自分が多くのことを経験し、多くの人に会っていないと、良いか悪いか分かりません。要は経験が先見力を養うのだと思います。
企業が永続するかどうか。サステナブルな企業になれるかどうかは、『人財』で決まる。だから6年前から、「人財育成」のために「大和ハウス塾」をやっています。毎年グループ会社からの推薦も入れて45人ほどの単位で5年やって二百数十名。そこからグループ内で四十数名の役員が生まれました。支店長の公募もしています。推薦された社員以外でも、「私は支店長になりたい」と手を挙げた社員も、積極精神をかってエントリーを受け入れています。

枝廣 大和ハウスは、社会から何を求められていると思いますか。

樋口 それは時々によって変わっていきます。私は「アスフカケツノ」というキーワードを作りました。最初は「アスフカケツ」で、それぞれ「安全・安心」「スピード・ストック」「福祉」「環境」「健康」「通信」という意味ですが、近年、「ノ」=農業を付けたのは、世界の人口問題、食糧問題が顕在化してきたからです。
世界人口は昨年70億人を超えました。2060年には世界の人口は95億前後。ひょっとしたら100億人になるかもしれない。対して日本の人口は8600万人前後で、高齢者が半分。この状況でどうやって食糧を確保するのか。今でも食糧自給率は38%前後なのに、世界の人口がそんなに増えたら日本には食糧が入って来なくなる。62%輸入に頼っているわけですから、なんとか食糧自給率を上げていかなくてはならない。そこでロボットを使い、余っているビルで農業を工業化すれば役に立つんじゃないか?ということです。今は野菜が中心ですが、いずれ人工の光によって地下で米でも麦でもできるようになる。それが改善・改良されてローコストでできるようになったら、ビルの中でロボット操作で米も麦もできるようになるでしょう。そうしないとおそらく日本人は食べられなくなる。

 そうした、「農業」を含めた「アスフカケツノ」を意識した取り組みが、先般のエコプロダクツ展でも紹介されていた大和ハウスの「イノベーション・フォー・サステナビリティ」というわけですね。

Contents


このページの先頭へ