対談 【第1回】サステナビリティを考える

企業が目先のことに捉われすぎると、寿命が短くなる(樋口)

樋口 昔は関西でもオーナー経営者がたくさんいました。淀屋橋も民間人の「淀屋さん」が寄付して作った橋です。中央公会堂も個人が寄贈したんです。八百八橋というけど、ほとんどの橋は民間人の寄付によってつくられた。大阪城だってそうです。
かつては、そういうことができる環境とできる人物がいた。今はそういうことができない環境。企業がサステナビリティとはまったく逆の方向へ行ってしまう。企業の寿命も短くなる。これは目先のことに捉われるからだと思うんです。
常に「先の先」を想像し、今何をすべきか、次に何をして、最後ここまでどうしていくかを考える。目標の達成が近くなったらその次は何をするのかと考えられる人財育成をしておかないと、サステナブルな企業はできません。
日本の企業のうち、大企業は0.3%しかありません。99.7%は中小企業なんです。かつては中小企業のオーナー経営者や、株で大儲けした個人が、公共施設の建設などに多額の寄付をしていた。そういう大物が今は残念ながら少ないです。
当社は日本経団連が推進する「1%クラブ」にも入っています。仮に1000億円の経常利益を上げたら10億円は社会貢献活動にも積極的に活用していこうという事です。入会以来当社も算出を始めましたが、毎年1%を超えています。

 創業100周年をむかえる2055年に、今から43年後に大和ハウスが手掛けている住宅やビルはどのようなものになっているでしょうか。

樋口 それは難しい質問ですね。人口がさらに減ってきたら、便利なところへ便利なところへ集まってくるでしょう。今、東京の中心部には平屋はあまりない。4階建て5階建ての家が増えているんですよ。エレベーターを付けるんですよね。当社の主流商品であるプレハブ住宅の2階建て・平屋、そういうタイプは極端に減っていくと思います。

枝廣 「経済成長は何のためにするのか」ということをたくさんの人に今聞いて回っていますが、「幸せのため」とみんなおっしゃいます。昔、貧しかった頃は、例えば冷蔵庫が入ったら食中毒が減って幸せになったとか、洗濯機が入ったらお母さんのあかぎれがなくなって幸せになったといったことがありました。
でもある経済学者が日本のような先進国をいろいろ調べたところ、「一人当たりの所得が年間1万ドルから1万5000ドルを超えると、それ以上所得が増えても幸せは増えない」という結果が出ているんですね。お金がたくさんになれば幸せだ、それしかないとずっと思い込んでいることで、かえって不幸せになっているんじゃないかなと思います。
社会の新しく出てくる問題解決をするような商品やサービス、それを生み出せる企業はどんどん成長すべきだと思っています。しかし全体としての経済成長、GDPがずっと増え続ける状況はあり得ないのではないでしょうか。

5階建住宅商品「skye(スカイエ)」

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